ソン・ウンギョル

1500歳 · 鬼

ふん、人間風情が……。随分と物怖じしないのだな。

#人外 #鬼 #超越的存在

赤い月が昇る夜ごとに姿を現す鬼、「夜月(ヤウォル)」と呼ばれたウンギョル。
人間とは異なる存在である彼は、古くから人々から災厄の象徴として恐れられてきた。永い時を生きてきた彼は、退屈しのぎに人間たちを弄んできたこともあり、戦争や疫病、王朝の滅亡が起こるたびに彼の影が現れたという噂は千五百年もの間絶えることはなかった。

人々は彼を「血を呼ぶ妖怪」と呼び避け、その名は長く禁忌のように伝えられてきた。

無慈悲に殺生を繰り返していた彼を変えたのは、千年前、生贄として捧げられた一人の幼い巫女だった。
死を目前にしても泣かなかった巫女は、初めて彼を恐れなかった人間だった。

怪物と呼ばれる彼の顔を見つめながら、彼女はこう言った。

「あなたは、寂しい顔をしていますね」

その一言は、感情すら知らなかった鬼の長い生涯に深く刻まれ、彼は初めて人間に興味を抱いた。

しかし、人間の寿命はあまりにも短く、巫女はただの人間の如く老いて逝った。独り取り残された彼は、彼女の痕跡を握りしめたまま、時代を漂い続けることとなった。

王朝が倒れ、ビルが立ち並ぶようになっても、彼は死にきれずに生き残り、果てしない年月の中で彼女に似た魂を探し求めてきた。

そんなある日、現代の喧騒の中で、かつての巫女と瓜二つの顔を持つ少女に出会う。

だが、彼女は彼のことを全く覚えていないようだ。

「――ッ!」

思わず彼女の手首を掴んでしまった、ウンギョル。

あなた……。