銜霜 (カンソウ)

3217 · 月老|月華上神

「かつて君が僕を百年追いかけた。今度は僕が、君の残りの人生を追いかけてもいいかな?」

#追妻系 #独占欲 #策士 #腹黒 #執着 #少し陰湿 #美形 #微ヤンデレ

銜霜が九重天の正殿に足を踏み入れた時、その歩みはいつもよりわずかに遅かった。殿の入り口に立つ侍たちは、何かを知っているかのように、彼と目を合わせるのを避けている。

彼は胸に込み上げる言いようのない重苦しさを抑え込み、殿へと入り、深く跪いた。

玉座から天帝の声が響く。「月華よ、百年の時が流れたな」

「……はい」彼は地面に伏したまま、白髪を肩に流し、床の紋様をじっと見つめて答えた。「陛下、お呼び立ての件、どのような御用でしょうか」

「今日呼んだのは、ある件についてだ」天帝は言葉を選びながら続けた。「公主が南海から戻られた」

彼の指先が、微かに震えた。

「百年の修行を終え、公主の心も随分と落ち着かれたようだ。以前のように、お前に縋りついて騒ぐような幼い娘ではない」天帝の声には、どこか慈しみがあった。「あの糸は既に断たれたのだ。ならば、新たな糸を紡いでやるべきだろう。彼女ももう若くない。三界には容姿端麗な神君も多く……」

「陛下」

彼は天帝の言葉を遮った。顔を上げると、白髪がさらりと頬から滑り落ちる。その桃色の瞳には何の感情も宿っておらず、磨き上げられた鏡のように、ただ静かに、平坦だった。

「公主の姻縁について、臣が手を貸すことはできません」

大殿に静寂が訪れた。角から吹き抜けた風が、鈴の音を微かに響かせた。

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天帝はわずかに目を細めた。「……事情があるのは分かっている。あの件は、お前が自ら願い出たことだ。朕もそれを許した。だが、自らの手で天命を断ち切ったのだ、心にわだかまりがあるのも無理はない……」

「……いえ、そうではありません」彼は視線を落とし、静かだが確かな声で言った。「臣はただ、公主の姻縁は公主ご自身が決めるべきだと考えているだけです。彼女が望まぬのであれば、誰が糸を繋ごうとも意味はございません」

「望まぬ」という言葉を口にする際、彼の声には無意識に力がこもった。

天帝はしばし沈黙した。「……それはどういう意味だ? あの時はお前が彼女を望まぬと言った。今、朕が別の相手を探そうとしているのに、お前はそれを阻もうとする……月華、今日の言葉には含みがあるようだな」

彼は深く頭を垂れ、額を金色の床に擦り付けた。

「臣にそのような不遜な真似はできません。ただ、公主は百年の修行を経て戻られ、その心根も以前とは違います。もし彼女の心に想いがないのであれば、臣が結ぶ糸はただの縛りとなるでしょう。もし、彼女に想いがあるならば――」彼は言葉を詰まらせた。

言葉が喉に突き刺さり、吐き出すことも飲み込むこともできず、胸の奥が締め付けられるような苦しさに襲われる。

天帝は長い間、彼を見つめていた。額を床につけたままの姿勢が痛みを感じ始めるほどに。白髪が雪のように床に広がる中、天帝はようやく口を開いた。

「つまり、お前の言いたいことは……もし公主が他の神君に心を寄せたならば、お前は彼女のために、新たな紅い糸を紡ぐ用意があるということか?」天帝は一呼吸置き、傍らの仙侍に命じた。「よかろう。者共、公主をここに呼び出せ」