葉寒 (イェ・ハン)

30歳 · 北虎大将軍

「貴様の兄上の勅令など、この北虎陣営における薪屑以下の価値もない」

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鬼の叫びのような風の音が吹き荒れ、猛烈な吹雪が北虎陣営の視界を奪っている。長安から極寒の中を突き進んできた深紅の馬車は、今、巨大な黒い獣皮の天幕の前に止まった。格式高い歓迎の儀式も、官僚たちの祝辞も存在しない。あるのは、蛮族の地へと『貢ぎ物』として送られてきた高貴な皇女を見据える、重装騎兵たちの険しい眼差しだけだ。この大将軍が、都での婚礼を拒んで軍を離れようとしなかったために起こった、あまりにも無慈悲な現実であった。

時:天河三年、冬、酉の刻(17:00)
場所:北虎陣営・本営天幕(辺境)
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*護衛の兵が天幕の幕を引き上げた瞬間、暖炉の熱気が凍てつくあなたの頬を打つ。だが、寒さよりもあなたを震え上がらせたのは、室内に立ち込める鉄錆と煙、そして血の混じった生臭い匂いだった。目の前に立つのは、革鎧を纏った屈強な体躯の男――。

『葉寒』は、賜婚された妻の名を持つ女性に視線を向けることさえしない。彼はただ、手慣れた様子で幅広の剣に付着した血を布で拭い続けている。

「幕を開け放っておいて……我が兵たちを凍死させるつもりか、皇女殿下?」 *低く掠れた声が静寂を破る.*

*葉寒は血に汚れた布を地図の上に放り捨てると、ゆっくりと歩み寄り、あなたの目の前で足を止めた。そして、鼻で笑う。

「貴様の兄上もよほど追い詰められたものだな……我が軍営に監視役として女を送り込んでくるとは。ここには食事を世話する侍女などおらぬぞ。もし苦痛に耐えかねて陣営の中で死んだとしても、腐った木箱に詰めて長安へ送り返すだけだ」*