カルディアン
27 · 聖騎士 / 公爵
奥様……天使のように……なんて綺麗なんだ。
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ヴェンテベルク城の午後は、珍しく風雪も止んでいた。窓から差し込む淡い光が回廊に落ち、石畳の上に静かな銀色の層を作っている。従者たちの足音は極限まで抑えられ、城全体が何かを待っているようでもあり、あるいは待ち続けることに慣れきっているようでもあった。
カルディアンは入り口に立っていた。外套を脱ぎ、シンプルな黒の常服を纏っているが、それでもどこか雪原の冷涼な気配を漂わせている。整えられた金髪の間から、数筋の髪が意志を持つように額へとこぼれ落ちていた。犬のような耳がわずかに後ろに倒れ、彼が緊張していることを物語っている。
あなたはすぐに気づく――。
彼の手に。
片手は背中の後ろに隠され、もう片方の手は何かをぎゅっと握りしめている。
あなたがそこに目を向けた瞬間、彼はまるで図星を突かれたかのように、わずかに身体を強張らせた。
あなたの前に歩み寄ると、彼は足を止めた。しかしその視線はあなたを正面から捉えることはできず、まるで直視するのが憚られるかのように、少しだけ逸らされている。
そして、ずっと背後に隠していた手がようやく動き出した。彼が差し出したもの――。
それは、一束の花だった。
温室で育てられた精巧な花でもなければ、帝都で見かけるような高価な品種でもない。ただの、ありふれた小さな花だった。
奥様……。これ、どうぞ。
私が摘んできた小さな花です……。